2月22日は「猫の日」です。「にゃん・にゃん・にゃん」の語呂合わせで1987年に制定されました。SNSでは猫の写真が溢れ、猫カフェはイベントを打ち、猫グッズの新作が発表される。猫好きにとっての祝祭日です。
しかし、この日にしかできないことがあります。猫を祀る神社への参拝です。日本には猫を神として祀る神社や寺院が各地に存在し、その多くが2月22日に特別な催しを行っています。観光でも買い物でもなく、「猫に感謝する」という原始的な行為。猫の日の過ごし方として、これ以上のものはないと思うのです。
なぜ日本には「猫を祀る神社」があるのか
猫神信仰の起源を知らずに参拝しても、表面的な体験にしかなりません。まず、なぜ日本に猫の神社があるのかを押さえておきましょう。
日本の猫を祀る神社が日本にある。猫神信仰の全記録は、養蚕文化と深く結びついています。蚕(かいこ)を食い荒らすネズミを退治してくれる猫は、養蚕農家にとって「蚕の守り神」でした。宮城県丸森町には猫の石碑が80基以上確認されており、養蚕が盛んだった東北地方には今も猫神の痕跡が色濃く残っています。
一方、東京や関西では「招き猫伝説」に基づく猫寺・猫神社が発展しました。こちらは商売繁盛や縁結びの信仰と結びつき、より大衆的な形で広がっていきました。養蚕の猫神と招き猫の猫神。起源は異なりますが、「猫に感謝し、猫を敬う」という根は同じです。
猫の日に参拝すべき猫神社・猫寺 10選
1. 豪徳寺(東京都世田谷区)──招き猫発祥の地
招き猫のルーツを辿る。豪徳寺と今戸神社、どっちが発祥か問題として最も有名な寺院です。彦根藩主・井伊直孝が白猫に手招きされて寺に入り、落雷を避けたという伝説が残ります。境内の招福殿には参拝者が奉納した数百体の招き猫が整然と並び、その光景だけでも圧巻です。
2月22日前後には参拝者が増え、招き猫の奉納数もこの時期にピークを迎えるといいます。豪徳寺の招き猫が小判を持っていないのは、「猫は機会を与えるだけ。福をつかむのは自分」という禅の教えによるもの。猫の日に、その意味を噛みしめながら参拝する価値があります。
2. 今戸神社(東京都台東区)──縁結びの猫神社
今戸焼の招き猫発祥の地とされる神社です。境内のいたるところに招き猫のモチーフがあり、絵馬もお守りも猫づくし。縁結びのご利益で知られ、猫の日には「猫の日限定御朱印」が授与されることがあります。浅草からのアクセスもよく、猫の日散歩のスタート地点として最適です。
3. 猫神社/美與利大明神(宮城県石巻市・田代島)
田代島――猫が神になった島のドキュメントの中央に鎮座する小さな祠。漁師が誤って命を落とした猫を祀ったのが始まりです。2月22日のフェリーは混雑が予想されますが、冬の静かな田代島で猫神社に手を合わせる体験は格別です。島内では犬の持ち込みが禁止されていることも、猫への敬意の表れです。
4. 猫神神社(宮城県伊具郡丸森町)
日本一の猫碑密集地である丸森町に、2020年代に入って正式に建立された猫神神社。毎年2月22日には「猫神祭」が開催され、猫碑めぐりツアーやワークショップが行われます。養蚕文化と猫神信仰の関係を体感できる、最も「猫神の本質」に近い場所です。
5. 梅宮大社(京都府京都市右京区)──猫が暮らす神社
酒造と安産の神を祀る梅宮大社は、境内で十数匹の猫が暮らしていることで猫好きに知られています。神職が猫の世話をしており、猫は「神使(しんし)」として大切にされています。京都の猫神社として、猫の日には遠方からの参拝者も多い場所です。参道を歩く猫とすれ違う体験そのものが、ここでしかできないお参りです。
6. 阿豆佐味天神社・立川水天宮 猫返し神社(東京都立川市)
正式名称は「阿豆佐味天神社(あずさみてんじんしゃ)」ですが、ジャズピアニストの山下洋輔氏がいなくなった愛猫の帰還を祈願して叶ったことから「猫返し神社」の通称で有名になりました。迷い猫の帰還祈願に特化した唯一の神社として、猫を飼うすべての人にとって心強い存在です。猫の日には「猫絵馬」の奉納が増えます。
7. 唐猫神社(鹿児島県鹿児島市・仙巌園内)
島津家の別邸・仙巌園(せんがんえん)の中にある小さな神社。文禄・慶長の役(朝鮮出兵)の際、島津義弘が連れて行った7匹の猫のうち、帰還した2匹を祀ったのが起源です。猫の瞳孔の変化で時刻を推測していたという話が伝わっています。「猫の時計」という発想が面白い。猫の日には特別な参拝対応がある年もあります。
8. 猫啼神社(福島県石川郡石川町)
その名の通り「猫が啼く」神社。和泉式部の飼い猫が主人の旅立ちを悲しんで鳴き続けたという伝説に基づきます。養蚕の猫神とも招き猫とも異なる、「猫と人間の絆」そのものを祀った珍しい神社です。猫と人間の感情の物語が、この場所には刻まれています。
9. 南部神社内・猫神社(岩手県遠野市)
民俗学の宝庫・遠野にも猫神信仰の痕跡があります。遠野の猫神は養蚕の守り神として祀られたもので、東北の猫碑文化の系譜に連なります。柳田國男の『遠野物語』の世界を歩きながら猫神に手を合わせる。猫好きにとっても民俗学好きにとっても、2月22日に訪れる価値がある土地です。
10. 蚕影神社(茨城県つくば市)
養蚕の神を祀る神社で、猫を直接祀っているわけではありませんが、蚕と猫の関係を理解するうえで欠かせない場所です。養蚕の守護者としての猫の位置づけを、信仰の現場で体感できます。猫神信仰の「なぜ」を深く理解したい方におすすめです。
猫の日参拝を最大限に楽しむための準備
- 御朱印帳を持参する:猫神社の多くが猫デザインの御朱印を授与しています。特に2月22日限定の御朱印がある神社もあるため、事前にSNSや公式サイトで確認しておきましょう
- お賽銭は「222円」:猫の日にちなんで222円をお賽銭にする参拝者が多くいます。五円玉を含めた小銭を用意しておくと気持ちよくお参りできます
- 猫グッズのお守りをチェック:豪徳寺の招き猫、今戸神社の猫絵馬、猫返し神社の猫お守りなど、各神社には固有の猫グッズがあります。猫好きへのお土産にも最適です
- 防寒対策は万全に:2月22日はまだ冬の寒さが残る時期です。特に東北の猫神社を訪れる場合は、しっかり防寒して臨んでください
- 静かに参拝する:猫の日は参拝者が増えますが、神社はあくまで信仰の場です。写真撮影のマナーを守り、他の参拝者への配慮を忘れずに
2月22日の「猫の日」を巡る世界の事情
日本の猫の日は2月22日ですが、世界にはほかにも「猫の日」が存在します。
| 日付 | 名称 | 制定国・団体 |
|---|---|---|
| 2月22日 | 猫の日(にゃんにゃんにゃんの日) | 日本(猫の日実行委員会、1987年) |
| 2月17日 | World Cat Day | ヨーロッパ(IFAW) |
| 8月8日 | International Cat Day | 国際(IFAW、2002年) |
| 10月29日 | National Cat Day | アメリカ(2005年) |
| 3月1日 | 猫の日 | ロシア |
日本の「にゃんにゃんにゃん」は語呂合わせの文化が生んだ独自の記念日です。しかし猫を祀る神社が各地にあるのは日本固有の現象であり、「猫の日に猫神社を参拝する」という行為は世界中で日本でしかできない体験です。
よくある質問(FAQ)
Q. 猫の日に猫神社で特別なイベントはありますか?
神社によって異なりますが、豪徳寺では参拝者が集中するため招き猫の奉納が増え、今戸神社では猫の日限定の御朱印が出ることがあります。丸森町の猫神神社では毎年「猫神祭」が開催され、猫碑めぐりツアーやワークショップが行われます。各神社の公式サイトやSNSで事前に確認するのがベストです。なお、多くの神社は猫の日だからといって特別拝観料を取ることはありません。
Q. 猫がいる神社に行けば猫に会えますか?
確実に会えるとは限りません。猫が境内で暮らしている神社(梅宮大社、田代島の猫神社など)では高い確率で猫に出会えますが、招き猫を祀っている神社(豪徳寺、今戸神社など)に必ずしも生きた猫がいるわけではありません。「猫に会う」ことが目的なら、猫に会える散歩道。全国の”猫通り”を歩くと組み合わせてルートを組むのがおすすめです。
Q. 猫好きでも神社仏閣に詳しくなくて大丈夫ですか?
もちろん大丈夫です。猫神社の参拝に特別な知識は必要ありません。二礼二拍手一礼の基本的な参拝作法さえ知っていれば十分です。むしろ、猫が好きだから猫の神様に手を合わせたい、という素直な気持ちで参拝するのが最も自然な形です。猫神信仰の歴史を知りたい方は、当サイトの猫を祀る神社が日本にある。猫神信仰の全記録をあわせてお読みください。
まとめ
2月22日の猫の日は、SNSで猫の写真を眺めるだけの日にするにはもったいない。日本各地にある猫神社へ足を運び、数百年にわたって猫を敬ってきた人々の信仰に触れる。それは猫好きとしての自分を一段深い場所に連れていってくれる体験です。豪徳寺で招き猫の「福は自分でつかめ」という教えを噛みしめるもよし、田代島で漁師と猫の信仰に頭を下げるもよし。来年の2月22日、あなたはどの猫神社に向かいますか。
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執筆:URAYAMA NO NEKO / Tetsu Onodera

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