猫と暮らす部屋は、散らかるものだと思っていませんか。爪とぎ、キャットタワー、トイレ、フードボウル──猫用品は増える一方で、理想のインテリアとは程遠い現実に溜息をついている方も多いはずです。しかし近年、「猫がいるからこそ美しい空間」を実現するプロダクトとアイデアが急速に増えています。MYZOO、KARIMOKU CAT、KANADEMONO。デザインと猫の幸福を両立させるブランドが台頭し、猫と暮らす部屋の美学は確実に変わりつつあります。この記事では、猫とミニマルなインテリアを両立させるための考え方、注目ブランド、そして実践的なヒントをお伝えします。
猫と暮らすインテリアの大前提──「猫の動線」から設計する
おしゃれな猫部屋をつくるとき、多くの人がやりがちなのは「人間のインテリアに猫用品を足す」というアプローチです。しかし本当に美しい猫との空間は、逆の発想から生まれます。猫の動線を先に設計し、その動線自体をインテリアに組み込むのです。
猫は本能的に高い場所を好みます。上下運動は猫の心身の健康に不可欠であり、室内飼いの猫にとっては唯一の「冒険」でもあります。この習性を理解すると、インテリアの考え方が変わります。
- 垂直方向の動線を確保する:床から棚、棚から棚へと移動できるルートを壁面に設計する
- 窓辺にくつろぎスポットをつくる:猫が外を眺められる場所は、猫にとってのテレビです
- 隠れ場所を用意する:猫は安心できる「穴」を必要とします。家具の一部にその機能を組み込む
- 人間の生活動線と交差させない:猫の通り道と人間の通り道が重ならないことで、互いにストレスが減ります
つまり、猫の動線そのものが空間のデザイン要素になるように計画することが、猫インテリアの出発点です。後から猫用品を「置く」のではなく、最初から猫の存在を空間に織り込む。この発想の転換が、すべてを変えます。
注目の猫家具ブランド──デザインと機能が共存する時代
かつて猫家具といえば、ベージュのカーペット素材で覆われた巨大なキャットタワーか、ホームセンターで買えるプラスチック製のトイレが定番でした。しかし2020年代に入り、猫家具の世界は劇的に変わっています。
MYZOO(マイズー)──台湾発、壁面を宇宙に変えるブランド
台湾発のMYZOOは、キャットステップとキャットウォークの概念を刷新したブランドです。代表的なプロダクトである「宇宙船GAMMA」は、透明なアクリルドームを備えた壁掛け式キャットハウス。猫が中に入ると、下から肉球が見えるという、機能とユーモアを兼ね備えたデザインが世界中の猫飼いを魅了しました。
MYZOOの強みは、モジュール式で組み合わせ自由な点にあります。六角形のハウス「Luna」、直線的なステップ「AVENUE」、潜水艦型の「OCEAN ROVER」など、バリエーションが豊富で、壁面に自分だけのキャットウォークを設計できます。カラーもウォールナット、オーク、ホワイトと展開されており、部屋のトーンに合わせやすい。木材には防水コーティングが施されているため、万が一の粗相にも対応できます。
RoomClipなどのインテリア共有サイトでは、MYZOOのステップを壁一面に配置し、まるでアスレチックコースのように仕上げた実例が数多く投稿されています。猫が壁面を自由に移動する姿は、それ自体がリビングの「動くアート」になります。
KARIMOKU CAT(カリモクキャット)──日本の木工技術が猫と出会う
日本を代表する木製家具メーカー、カリモク家具が「Cat First.」を掲げて立ち上げたのがKARIMOKU CATです。猫の健康支援プロダクトを手がけるRINN社との協業から生まれたこのブランドは、「猫のために本気を出した家具メーカー」という唯一無二のポジションを確立しています。
フラッグシップの「KARIMOKU CAT TREE」は、プロダクトデザイナー・小宮山洋氏がデザイン。三角形のベースでコンパクトに設置でき、高さ124cm。無垢材の質感が美しく、リビングの一角に置いても「猫用品」ではなく「家具」として空間に溶け込みます。価格は39,800円(税別)と猫家具としては高価格帯ですが、カリモクの品質を考えれば「一生もの」として十分に妥当です。
その他にも「CAT BED」「CAT RESTROOM(猫トイレ収納)」「CAT TABLE(15度傾斜の食事台)」など、猫の生活シーン全体をカバーするラインナップが揃っています。2025年には「木と猫」と題した展覧会も開催され、人と猫が共に使える「CAT NEST」スツールや、木の猫置物「匣猫(こうばこねこ)」など、プロダクトの境界を拡張し続けています。
KANADEMONO(カナデモノ)──猫穴のあるテーブルという発明
パーソナライズ家具ブランドKANADEMONOが展開する「Nekodamono(ネコダモノ)」シリーズも見逃せません。天板に直径18cmの「ネコ穴」が開いたローテーブルやシェルフは、猫が自由に出入りできる仕掛けを家具そのものに組み込んだ画期的なプロダクトです。
また「猫の手も借りたいソファ」は、猫が爪を立てても味わいが増すジャガード生地を採用。猫の行動を「ダメージ」ではなく「カスタマイズ」と捉える発想が新しい。5,000通り以上の組み合わせと1cm単位のサイズオーダーに対応しており、空間にぴったり合う猫家具を手に入れることができます。
ミニマリスト×猫──実は最高の相性である理由
「ミニマリストと猫の暮らしは両立しない」と思われがちですが、実際はその逆です。ミニマルな空間こそ、猫にとって理想的な環境になり得ます。その理由を整理してみます。
- 床にモノがないから猫が自由に動ける:猫は障害物のない広い床面を好みます。ミニマリストの部屋はそのまま猫の遊び場になります
- 掃除がしやすく衛生的:猫の毛は想像以上に飛びます。モノが少なければ、掃除機をかけるのも拭き掃除も圧倒的に楽になります
- 猫用品を「選び抜く」思考と相性がいい:ミニマリストは「本当に必要なものだけを持つ」という思考法を持っています。猫用品にもその哲学を適用すれば、安価な大量生産品ではなく、デザインと機能を兼ね備えた一点を選ぶことにつながります
- 猫自体がミニマルな存在:猫は基本的に、食事・トイレ・寝床・上下運動のできる場所があれば満足します。犬と比べてモノが少なくて済む動物です
ミニマルな猫暮らしを実現するポイントは「兼用」と「収納」です。たとえばKARIMOKU CATのRESTROOMは猫トイレを家具の中に収納し、においも視覚的な雑然さも同時に解消します。キャットタワーの代わりに壁面のキャットステップを選べば、床面積はゼロで済みます。フードボウルは出しっぱなしにせず、食事の時だけ出すスタイルにすれば、キッチン周りがすっきりします。
実践のヒント──今日からできる5つのこと
- 色を3色以内に統制する:部屋の基調色を決め、猫用品もその範囲で選ぶ。白・グレー・ウォールナットの組み合わせは汎用性が高い
- 壁面を活用する:床に置く猫家具を減らし、壁掛けのステップやハウスに置き換える。空間が一気に広がります
- 「見せる」と「隠す」を分ける:デザイン性の高いキャットツリーは見せる。トイレやフードストックは家具に収納して隠す
- 素材を統一する:木製で統一する、ファブリックのトーンを揃える。素材の統一感があるだけで、猫用品がインテリアに馴染みます
- 定位置を決める:爪とぎの場所、くつろぎスポット、食事スペースを固定することで、猫も人も快適に過ごせます
引用・出典
- MYZOO公式サイト(https://myzoo.jp/)
- KARIMOKU CAT公式サイト(https://karimoku-cat.jp/)
- KANADEMONO Nekodamonoコレクション(https://kanademono.design/collections/nekodamono)
- RoomClip「キャットウォーク myzoo」実例(https://roomclip.jp/tag/2967×797405)
- カリモク家具「木と猫」展覧会情報──JDN(https://www.japandesign.ne.jp/news/2025/08/83467/)
FAQ
Q. 賃貸でもキャットウォークは設置できますか?
はい、可能です。MYZOOのキャットステップは壁にビス止めするタイプが中心ですが、ディアウォール(突っ張り式の柱)を活用すれば賃貸でも壁を傷つけずに設置できます。また、KANADEMONOのネコ穴付きシェルフのように、床置き家具でキャットウォーク的な動線を確保する方法もあります。退去時の原状回復を考慮しつつ、工夫次第で十分に実現可能です。
Q. 猫がいてもミニマルな部屋を維持できますか?
維持できます。むしろ猫がいるからこそミニマルにすべき理由があります。床にモノが少なければ猫の毛の掃除が楽になり、猫が誤飲するリスクも減ります。ポイントは、猫用品を「増やす」のではなく「厳選する」こと。デザイン性の高いプロダクトを少数精鋭で持つことで、猫の快適さとインテリアの美しさを両立できます。
Q. おしゃれな猫家具は高価格帯のものしかないですか?
KARIMOKU CATやKANADEMONOは確かに高価格帯ですが、選択肢はそれだけではありません。MYZOOのキャットステップは数千円台から購入でき、無印良品やIKEAの家具を猫用にアレンジするアイデアもSNSで多数共有されています。大切なのは「高いものを買う」ことではなく、「部屋全体のトーンに合うものを選ぶ」という意識です。色と素材を統一するだけで、手頃な猫用品でも十分おしゃれに見えます。
まとめ
猫と暮らす部屋は、散らかる宿命にあるわけではありません。猫の動線を起点にインテリアを設計し、MYZOO・KARIMOKU CAT・KANADEMONOのようなデザイン性の高いプロダクトを取り入れることで、猫がいるからこそ美しい空間が実現します。ミニマルな暮らしと猫の幸福は矛盾しません。モノを減らし、本当に良いものだけを選び、猫の動きそのものをインテリアの一部として楽しむ。それが、2020年代の猫との暮らし方です。
キャットタワーの選び方をもっと知りたい方はおしゃれなキャットタワー20選。家具として選ぶ新基準を、部屋全体のレイアウトを考えたい方は1K、ワンルームでも。猫と暮らす部屋のレイアウト術をあわせてどうぞ。各ブランドの詳しい比較はMYZOO、KARIMOKU CAT…猫家具ブランドの世界。なぜ今、猫家具にデザインが求められるのかでまとめています。
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著者:URAYAMA NO NEKO / Tetsu Onodera

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