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東京の猫カフェ、本当に”いい空間”だけ選んだ。

猫カフェに行く理由を、「猫に会いたいから」だけで片づけていいのだろうか。

東京には300を超える猫カフェがあるとも言われています。しかし、その多くは「猫がいるだけの部屋」にとどまっている。光の入り方、素材の選び方、家具と猫の動線の関係性。そうした空間設計の視点でふるいにかけると、本当に”いい場所”はほんのわずかしか残りません。

この記事では、猫の数でも料金の安さでもなく、「空間としての質」だけを基準に、東京の猫カフェを選びました。インテリア好き、建築好き、あるいは”居心地のいい場所”を探しているすべての人へ。

目次

なぜ「空間」で猫カフェを選ぶのか

猫カフェの内装デザインは、ここ10年で劇的に変化しました。2004年に大阪で日本初の猫カフェが誕生して以来、業態は20年の歳月を経て成熟期に入っています。全国の猫カフェ店舗数は約600、東京都内だけでも数十店舗がひしめく市場です。

その中で差別化の軸になっているのが、空間設計です。猫のストレスを軽減するキャットウォークの配置、人と猫の視線が自然に交わる家具のレイアウト、匂いと湿度をコントロールする換気設計。優れた猫カフェは、「猫のための建築」と「人のための居場所」を同時に成立させています。

つまり、空間の質は猫の幸福度と直結している。いい空間には、いい猫の暮らしがあります。

MOCHA 渋谷公園通り店 ── 都市の8階で、光と猫に溶ける

渋谷駅B1出口から徒歩4分。ビルの5階に上がると、そこには渋谷の喧騒からは想像できない静けさが広がっています。

猫カフェMOCHA渋谷公園通り店の最大の特徴は、大きな窓から差し込む自然光と、それを前提に設計された空間構成です。マッサージチェアやソファが配置されたラウンジエリアは、従来の猫カフェのイメージを一新する洗練さ。木を基調とした内装は、北欧のリビングを思わせるトーンで統一されています。

ここで注目したいのは、猫と人の「距離感の設計」です。仕切りを極力排除したオープンフロアでありながら、猫が自由に退避できるキャットタワーや隠れ家が要所に配置されている。猫が来たいときに来る。人は待つだけでいい。その関係性を空間が自然に導いてくれます。

空間デザインのポイント

  • フロアからの都市の眺望と自然光を活かした開放的な設計
  • ラウンジ型レイアウト。マッサージチェア・ソファで長時間滞在を前提とした設計
  • 木目素材を基調とした北欧トーンの内装
  • 猫の動線と人の動線を分離しつつ、交差点をデザインするフロア構成

住所: 東京都渋谷区神南1-16-3 ブル・ヴァールビル5F
営業時間: 10:00〜20:00(最終入店 19:30)
アクセス: 渋谷駅B1出口から徒歩約4分

てまりのおうち(吉祥寺)── 猫が建築した、もうひとつの世界

2013年にオープンした吉祥寺の「てまりのおうち」は、東京の猫カフェの中で最も”空間にストーリーがある”場所だと断言できます。

コンセプトは「不思議なネコの森」。猫たちが自分たちで家をつくり、ゆるやかに暮らしている森に、人間が訪れるという設定です。この世界観が、内装の隅々にまで一貫して反映されている。アーチ型のエントランス、手づくり感のある造作家具、暖色系の照明。いわゆる”メルヘン”ではあるのですが、安っぽさがない。むしろ、児童文学の挿絵の中に入り込んだような、高い解像度のファンタジーです。

空間デザインとして優れているのは、2層構造の吹き抜けです。猫は上下の空間を自由に移動でき、人間は見上げるかたちで猫の生活を”観察”する。この視線の高低差が、猫カフェにありがちな「触れ合い消費」とは異なる体験を生んでいます。ここでは猫が主役であり、人間はあくまでゲストなのです。

空間デザインのポイント

  • 「猫が建築した森」というストーリーに基づく一貫した世界観
  • 2層吹き抜け構造による猫の立体的な動線設計
  • 造作家具と暖色照明による絵本的空間演出
  • 人間を”ゲスト”として位置づけるホスピタリティの設計

住所: 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-13-14
営業時間: 平日 11:00〜20:00 / 土日祝 10:00〜20:00
アクセス: JR吉祥寺駅北口から徒歩約5分

猫の世界をもっと深く。URAYAMA NO NEKOの最新情報はInstagramで → @urayamanoneko

MOCHA 原宿店 ── 竹下通りの上空で、猫と原宿を眺める

竹下通り沿いのビル2階。階段を上がった先に、原宿のストリートを見下ろせる猫カフェがあります。

MOCHA原宿店が空間として面白いのは、「街との接続」が設計されている点です。大きな窓から原宿の通りが見え、外の光が室内を満たす。猫たちは窓辺に集まり、外の風景を眺めている。その姿を、人間がさらに眺めている。都市 → 窓 → 猫 → 人間。この四層の視線構造が、この空間の本質です。

内装は木目を基調としたナチュラルモダン。MOCHAの店舗は「ニオイ」「衛生面」に徹底配慮したうえで、清潔感とデザイン性を両立させることをブランドの方針としており、原宿店はその哲学が最も表現されている店舗のひとつです。毎日2回の「ごはんタイム」(10:30、19:00)では、猫たちが一列に並んで食事をする姿が見られます。この”儀式”のような光景も、空間体験の一部として機能しています。

空間デザインのポイント

  • 原宿の街並みを取り込んだ「都市と接続する猫カフェ」
  • 都市→窓→猫→人間という多層的な視線構造
  • ナチュラルモダンの内装と徹底した衛生管理の両立
  • ごはんタイムという”空間イベント”の設計

住所: 東京都渋谷区神宮前1-14-25
営業時間: 10:00〜20:00(最終入店 19:30)
アクセス: JR原宿駅竹下口から徒歩約3分

ネコリパブリック東京お茶の水店 ── 保護猫が暮らす、昭和モダンの一軒家

神田明神のほど近く、清水坂下の交差点脇のオフィスビル。そこを上がっていった先に、突如として現れる一軒家のような空間。ネコリパブリック東京お茶の水店は、保護猫カフェというカテゴリに収まりきらない、独自の空気感を持つ場所です。

「2022年2月22日までに日本の猫の殺処分をゼロにする」を掲げて設立されたネコリパブリック(現在はさらなる目標を掲げて活動を継続中)。その理念が空間にも息づいています。昭和を感じさせるレトロな内装を活かしつつ、モダンにリノベーションされた店内。小さな和室にはシニア猫や集団が苦手な猫のための個室が用意されている。この「個を尊重する空間設計」が、保護猫カフェとしての誠実さを物語っています。

インテリアの視点で言えば、ここは「和のリノベーション」のショーケースでもあります。古い建材の味わいと、現代的な清潔感の共存。それは猫のためであると同時に、訪れる人間にとっても「こういう暮らし方がしたい」と思わせる空間です。

空間デザインのポイント

  • 昭和建築のリノベーションによるレトロモダンな空間
  • シニア猫・繊細な猫のための個室設計(個を尊重する建築思想)
  • 保護猫の社会課題と空間デザインが一体化した設計哲学
  • 「暮らし」を感じさせる一軒家的な居住感

住所: 東京都千代田区外神田2-1-2 東進ビル3F
営業時間: 12:00〜20:00
アクセス: JR御茶ノ水駅から徒歩約5分

“いい猫カフェ”に共通する、3つの空間設計の原則

4つの猫カフェを空間デザインの視点で見てきました。共通しているのは、以下の3つの原則です。

1. 猫の動線と人の動線が「分離」されている

いい猫カフェは、猫が人間の都合に合わせて動くのではなく、猫が自由に移動できるルートを独立して確保しています。キャットウォーク、高所の通路、隠れ家スペース。これらは装飾ではなく、猫の生活インフラです。

2. 光と素材の選択が「居心地」を決めている

蛍光灯で照らされたビニールクロスの部屋に猫がいるだけでは、空間とは呼べません。自然光の取り入れ方、木や布の素材感、色温度の統一。これらの要素が、猫にとっても人にとっても「長くいたい場所」をつくっています。

3. 空間にストーリーがある

てまりのおうちの「猫の森」、ネコリパブリックの「保護猫と暮らす家」。優れた猫カフェには、空間全体を貫くナラティブがあります。それは単なるテーマパーク的な演出ではなく、猫と人の関係をどう定義するかという思想の表明です。

引用・参考

猫カフェの誕生から20年が経過し、店舗数は全国で約600にまで拡大。東京都内だけでも50を超える店舗が存在し、近年は空間設計やコンセプトの差別化が進んでいる。

出典: J-Net21「猫カフェ 市場調査データ(2024年版)」/ 全国猫カフェ協会

猫のストレス軽減を考えた環境づくりでは、キャットウォーク・キャットタワー・隠れ家など、立体的な動きができる空間が理想。静かなスペースや避難場所も確保し、猫が落ち着ける環境にすることが大切です。

出典: SIXINCH JAPAN「猫カフェ内装のすべて」

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よくある質問(FAQ)

Q. 東京でインテリアがおしゃれな猫カフェはどこですか?

空間デザインの質で選ぶなら、MOCHA渋谷公園通り店(都市型ラウンジ)、てまりのおうち(ファンタジー世界観)、ネコリパブリック東京お茶の水店(昭和リノベーション)の3店舗が突出しています。いずれも内装に明確なコンセプトがあり、猫の動線設計と人の居心地を両立させている点が共通しています。

Q. 猫カフェの空間デザインはなぜ重要なのですか?

空間設計は猫のストレスレベルに直結します。立体的な動線(キャットウォーク・隠れ家)がある空間では猫が自由に退避でき、精神的に安定した状態を保てます。猫がリラックスしている空間は、結果として訪れる人にとっても居心地のよい場所になります。つまり、いい空間設計は「猫のため」であり、同時に「人のため」でもあるのです。

Q. 保護猫カフェと一般の猫カフェは空間設計に違いがありますか?

保護猫カフェは「猫の個体差への配慮」が空間設計に強く反映されている傾向があります。ネコリパブリックのようにシニア猫や繊細な猫のための個室を設けるなど、すべての猫を同じ空間に置かない配慮がされています。一般の猫カフェが「体験のデザイン」を重視するのに対し、保護猫カフェは「暮らしのデザイン」を重視しているといえます。

まとめ

東京の猫カフェは、もはや「猫がいるだけの場所」ではありません。空間設計の視点で見ると、優れた猫カフェには共通点があります。猫の動線と人の動線を分離する設計、自然光と素材選びへのこだわり、そして空間全体を貫くストーリー。この3つが揃った場所だけが、猫にとっても人にとっても”いい空間”です。

猫カフェを選ぶとき、猫の数や料金だけでなく、「この空間はどういう思想で設計されているのか」という視点を持ってみてください。見える景色がまったく変わるはずです。

URAYAMA NO NEKOについて

URAYAMA NO NEKOは、猫カルチャーを発信するブランドです。猫のいる風景、猫と暮らす空間、猫が登場するアートやデザイン。猫を取り巻く文化のすべてを、カルチャーメディアとして記録し、発信しています。オリジナルグッズはこちら → SHOP

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執筆:URAYAMA NO NEKO / Tetsu Onodera

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