アニコム損害保険が毎年発表する「猫の名前ランキング」。2026年版で総合1位に輝いたのは、またしても「ムギ」でした。これで7年連続のトップ。約5万5,000頭の新規登録データから浮かび上がる、猫の命名トレンドの最前線を読み解きます。
2026年版 猫の名前ランキングTOP10
アニコム損保が2026年2月に発表した最新ランキングは、2025年2月1日から2026年1月31日までに同社のペット保険「どうぶつ健保」に新規契約した0歳の猫54,764頭を対象に集計されたものです。
総合ランキング
- ムギ(438頭)──7年連続1位
- ラテ(349頭)──前年5位から急浮上
- ルナ(338頭)──安定の上位常連
- ルル(285頭)──前年10位から大躍進
- レオ
- ソラ
- モカ
- キナコ
- ベル
- メル
注目すべきは「ラテ」の躍進です。前年の5位から2位へ一気にジャンプアップ。カフェ文化の定着とともに、飲み物由来の名前が存在感を強めています。「ルル」も前年10位から4位へ。短く、リズミカルで、呼びかけたときの響きが心地よい名前が支持を集めています。
オス(男の子)部門
- レオ(253頭)──7年連続1位
- ムギ(231頭)
- ソラ(222頭)
オス部門では「レオ」が7年連続で王座を守りました。ラテン語で「獅子」を意味するこの名前は、猫の凛々しさと気高さを重ねるのにぴったりです。新顔として「ウニ」(112頭)と「チャチャマル」(109頭)が圏外からTOP10入りを果たしたことも話題になりました。
メス(女の子)部門
- ルナ(286頭)──男女別で最多頭数
- ムギ
- ルル(190頭)──前年7位から3位へ
メス部門では「ルナ」が堂々の1位。286頭という数字は、男女別すべての名前の中で最多です。「メル」が圏外からTOP10入りするなど、2音で完結する短い名前のトレンドが鮮明になっています。
なぜ「ムギ」は7年も勝ち続けるのか
2020年に初めて総合1位を獲得してから、一度もその座を譲っていない「ムギ」。なぜここまで強いのか。いくつかの角度から考察してみます。
理由1:性別を問わない万能さ
「ムギ」は猫の名前ランキングにおいて、オス・メス両方の部門でTOP3に入る唯一の名前です。性別が判明する前に名前を決めたい飼い主にとって、どちらでも違和感なく使える名前は大きなアドバンテージ。この「ジェンダーニュートラル」な特性が、総合ランキングでの圧倒的な頭数につながっています。
理由2:毛色との親和性
麦の穂を思わせる柔らかい黄色〜茶色は、猫の毛色として最も一般的な色合いのひとつです。茶トラ、キジトラ、クリーム色の猫を迎えたとき、「ムギ」という名前は毛色とぴったり重なります。見た目と名前の一致は、飼い主にとって直感的な命名体験を生みます。
理由3:花言葉の縁起のよさ
麦の花言葉は「希望」「富」「繁栄」「豊作」。新しい家族を迎える喜びと、健やかに育ってほしいという願いを込めるのにふさわしい意味が揃っています。名前に込められた「物語性」が、飼い主の心をつかんでいるのです。
理由4:2音の呼びやすさ
「ム・ギ」のたった2音。日常的に何度も呼びかける猫の名前において、短さは正義です。今回のランキング上位──ラテ、ルナ、ルル、レオ、ソラ──を見ても、すべて2音で構成されています。2音の名前は猫にとっても聞き取りやすく、飼い主にとっても呼びやすい。この黄金のバランスが、ムギの連覇を支えています。
理由5:SNSとコンテンツでの「ムギ文化圏」
YouTubeやInstagramには「ムギ」という名前の猫のチャンネルやアカウントが無数に存在します。人気漫画『ムギのころ』(片倉真二・著)をはじめ、コンテンツの中で「ムギ」の名前に触れる機会が増えたことで、命名の選択肢として想起されやすくなりました。一度トップになった名前がメディア露出によってさらに認知され、次の世代の命名に影響する──この「正のスパイラル」が7連覇の土台です。
猫の命名トレンドはどう変わってきたか
猫の名前の流行は、時代の空気を映し出す鏡でもあります。過去20年の変遷を振り返ります。
2000年代:和風・人名系の時代
「タマ」「ミケ」といった古典的な猫名がまだ健在だった時代。一方で「ハナ」「モモ」「サクラ」など、人間の赤ちゃんにも使われるような和風の名前が台頭しはじめます。猫を「ペット」から「家族」として扱う意識の変化が、命名にも表れていました。
2010年代:2音・洋風ミックスの時代
「レオ」「ルナ」「ソラ」といった2音の名前が上位を占めるようになります。日本語の響きと洋風のニュアンスが共存する名前が好まれ、「ココ」「マロン」「モカ」など、カフェメニューや食べ物由来の名前も増加しました。
2020年代:ナチュラル&ジェンダーレスの時代
「ムギ」の7連覇に象徴されるように、自然物(麦、空、月)由来の名前が上位を独占。さらに性別を問わない「ジェンダーレスネーム」が主流となりました。2026年のランキングで「ウニ」「チャチャマル」といった個性的な名前がTOP10入りしたことは、画一化への反動として「唯一無二の名前をつけたい」という欲求が生まれていることも示唆しています。
海外の猫の名前ランキングと比較する
日本の猫の名前事情は、海外と比べてどのような特徴があるのでしょうか。2025〜2026年のアメリカ・イギリスのデータと照らし合わせてみます。
アメリカの人気猫名TOP5(2026年)
- オス:Milo(マイロ)、Leo(レオ)、Oliver(オリバー)、Loki(ロキ)、Charlie(チャーリー)
- メス:Luna(ルナ)、Lily(リリー)、Bella(ベラ)、Willow(ウィロー)、Nala(ナラ)
イギリスの人気猫名(2025年)
- メス:Luna(ルナ)、Bella(ベラ)、Poppy(ポピー)、Daisy(デイジー)
- オス:Milo(マイロ)、Leo(レオ)、Charlie(チャーリー)、Oscar(オスカー)
日本と海外の共通点・相違点
興味深いのは「Luna(ルナ)」と「Leo(レオ)」が日米英で共通してTOP圏内にいることです。月と獅子──宇宙的なスケール感を持つ名前が、国境を越えて猫の名前として選ばれています。
一方、日本独自の特徴もあります。「ムギ」「キナコ」「ソラ」といった日本語の自然物・食べ物由来の名前は海外ランキングには登場しません。逆に、海外で人気の「Oliver」「Charlie」のような人間の名前をそのまま猫に付ける文化は、日本ではあまり見られません。
つまり、日本の猫の命名は「自然物・食べ物」×「2音」×「ジェンダーレス」という独自の方程式で進化しているのです。海外が「人名の転用」に寄る傾向があるのとは、対照的なアプローチといえます。
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引用・出典
- アニコム損害保険株式会社「2026年最新版!「猫の名前&猫種ランキング」」(2026年2月19日発表)
- 日本経済新聞「ネコの名前、「ムギ」が7年連続1位 アニコム損保調査」(2026年2月)
- アニコム損保 猫との暮らし大百科「2026年最新版「猫の名前&猫種ランキング」今年も”あの名前”がトップに。」
- @DIME アットダイム「猫の名前ランキング、3位「ルナ」、2位「レオ」、1位は?」(2026年2月)
- Chewy「The Most Popular Cat Names for 2026」
- Supakit「The Best Cat Names for 2026」
- ホテル暴風雨「猫の名前で1位。犬の名前でも1位。なぜいまムギが人気なのか?」
FAQ
Q. 2026年の猫の名前ランキング1位は何ですか?
アニコム損害保険の調査によると、2026年の猫の名前ランキング総合1位は「ムギ」(438頭)です。これで7年連続のトップとなりました。2位は「ラテ」(349頭)、3位は「ルナ」(338頭)で、上位3名はいずれも300頭を超えています。調査対象は2025年2月〜2026年1月に新規契約した0歳の猫54,764頭。オス部門では「レオ」が7年連続1位、メス部門では「ルナ」が1位を獲得しています。
Q. なぜ「ムギ」は猫の名前として7年間も1位を維持できるのですか?
「ムギ」の強さには複数の要因があります。第一に、オスにもメスにも使えるジェンダーニュートラルな名前であること。第二に、猫に多い茶系の毛色と麦の色がマッチすること。第三に、花言葉が「希望」「富」「繁栄」と縁起がよいこと。第四に、2音で呼びやすいこと。さらに、SNSや漫画などのコンテンツを通じて「ムギ=猫の名前」という認知が広がり、新しい飼い主が命名時に想起しやすくなる正のスパイラルが生まれている点も見逃せません。
Q. 海外の猫の名前ランキングと日本の違いは何ですか?
2026年のアメリカではオス猫に「Milo」「Leo」「Oliver」、メス猫に「Luna」「Bella」「Lily」が人気です。日本との共通点として「Luna(ルナ)」「Leo(レオ)」が日米英で上位に入っていますが、大きな違いもあります。海外では「Oliver」「Charlie」のように人間の名前をそのまま猫に付ける傾向が強いのに対し、日本では「ムギ」「キナコ」「ソラ」など自然物・食べ物由来の名前が主流です。日本独自の「自然物×2音×ジェンダーレス」という命名法則は、国際的に見てもユニークな特徴といえます。
まとめ
2026年、「ムギ」は7年連続で猫の名前ランキングの頂点に立ちました。性別を問わない万能さ、毛色との親和性、呼びやすい2音の響き、そしてSNS時代の正のスパイラル。この名前が持つ複合的な強さは、一過性のブームではなく、ひとつの「文化」として定着した証拠です。ラテやルルの躍進、ウニやチャチャマルといった個性派の台頭も見逃せません。猫の名前は、その時代の飼い主が猫にどんな存在であってほしいかを映し出すもの。ランキングの数字の向こうに、54,764通りの「はじめまして」の物語があります。
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執筆:URAYAMA NO NEKO / Tetsu Onodera

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