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世界の猫カフェ比較。東京・イスタンブール・ロンドン・台北

猫カフェは、いまや世界中に広がる文化です。しかし、その在り方は都市ごとにまったく違います。日本のように完成された「猫と過ごす空間ビジネス」もあれば、街全体がすでに猫カフェのような都市もある。発祥の地である台北には、1998年から続く老舗が今も営業しています。この記事では、東京・イスタンブール・ロンドン・台北の4都市を軸に、猫カフェ文化の違いと共通点を比較します。

目次

台北──世界最初の猫カフェが生まれた街

猫カフェの発祥地は、日本ではなく台湾です。1998年、台北に「猫花園(小猫花園)」がオープンしました。店主が飼っていた5匹の猫を店に連れてきたのが始まりで、猫がいるカフェという概念そのものがここから生まれています。

小猫花園は2022年にギネス世界記録の認定を受け、「世界最長営業の猫カフェ」として公式に認められました。25年以上にわたって営業を続けている事実そのものが、台北の猫カフェ文化の厚みを物語っています。

台北の猫カフェ文化には、もうひとつ特筆すべき存在があります。猴硐(ホウトン)猫村です。台北から電車で約1時間、かつての炭鉱村が猫の楽園として再生しました。2008年に地元の猫好き住民が野良猫の保護活動を始めたことがきっかけで、現在は200匹以上の猫が暮らしています。村全体がオープンエアの猫カフェのような空間で、猫モチーフのカフェや土産物店が並んでいます。

台北における猫カフェは、「店舗」と「街」の両方に存在する。この二重構造が、他の都市にはない台北の個性です。

東京──猫カフェを「産業」に育てた街

日本初の猫カフェは、2004年に大阪にオープンした「猫の時間」です。翌2005年には東京に「猫の店」が登場し、そこから爆発的に広がりました。2005年から2010年のわずか5年間で、全国に79軒の猫カフェが誕生しています。

東京の猫カフェが急速に普及した背景には、都市の住環境があります。ワンルームや1Kのマンションではペット飼育が禁止されていることが多く、猫と触れ合いたくても飼えない層が膨大に存在していました。猫カフェは、その需要に対する最適解だったのです。

東京の猫カフェの特徴

  • システム化された体験:時間制(30分〜数時間)、ワンドリンク制、入場時の手指消毒など、ルールが明確に設計されている
  • チェーン展開:「猫カフェMOCHA」は池袋・渋谷・新宿など都内に複数店舗を展開し、大阪・名古屋・福岡にも進出。日本最大級の猫カフェチェーンに成長している
  • 保護猫カフェの台頭:「ネコリパブリック」のように保護猫の譲渡を目的とした猫カフェが増えており、「楽しむ」と「救う」が一体化した新しいモデルが定着しつつある
  • エリアごとの個性:下北沢の「Cateriam」は小規模で家庭的、池袋のMOCHAは広々とした空間設計。街の雰囲気がカフェの性格にも反映されている

東京は猫カフェを「文化」から「産業」に昇華させた街です。清潔さ、サービス品質、猫の福祉を高い水準で両立させている点は、世界的に見ても突出しています。

イスタンブール──街全体がすでに猫カフェ

イスタンブールに猫カフェが少ない理由は、シンプルです。街そのものが巨大な猫カフェだからです。推定12万5,000匹以上の野良猫が暮らすこの街では、どのカフェに入っても猫がいます。テーブルの上に堂々と座る猫、店の入口で客を出迎える猫。わざわざ「猫カフェ」という業態を作る必要がそもそもありません。

イスラム教において猫は「清浄な動物」とされており、預言者ムハンマドが愛猫ムエッザのために衣の袖を切ったという逸話は広く知られています。猫に食事や水を提供する行為は善行(サダカ)の一環として捉えられており、市民が自発的に猫の世話をする文化が何百年も続いてきました。

それでも、近年はイスタンブールにも猫カフェが登場しています。「Catmosfer Cat Cafe」はその代表格で、SNSを通じて観光客の人気を集めています。ただし、その位置づけは東京やロンドンとはまったく異なります。イスタンブールにおける猫カフェは「猫に会える特別な場所」ではなく、「猫との時間をより快適に楽しむための場所」です。日常に猫がいる都市だからこそ、猫カフェの意味が変わるのです。

2016年に公開されたドキュメンタリー映画『Kedi(ケディ)』は、イスタンブールの猫と人間の関係を世界に伝えました。Rotten Tomatoesで98%の支持率を記録したこの映画が証明したのは、イスタンブールでは猫カフェに行かなくても、猫との濃密な時間が街のどこでも手に入るということです。

ロンドン──「猫カフェの不在」を埋めた英国流のアプローチ

イギリス初の猫カフェ「Lady Dinah’s Cat Emporium」がロンドン東部のショーディッチにオープンしたのは、2014年のことです。クラウドファンディングで資金を集めて開業したこのカフェは、オープン直後から数か月先まで予約が埋まるほどの反響を呼びました。

名前の由来は、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』に登場するアリスの飼い猫ダイナ。店内は不思議の国をモチーフにしたティールームと、地下の「森」エリアで構成されており、90分の滞在中にアフタヌーンティーやカクテルを楽しみながら猫と過ごすことができます。

ロンドンの猫カフェの特徴

  • 完全予約制:東京のように気軽にふらりと入る形式ではなく、事前予約が基本。90分の「セッション」として設計されている
  • 保護猫の採用:Lady Dinah’sでは開業以来60匹以上の保護猫を受け入れてきた実績がある
  • 英国式の「お茶文化」との融合:紅茶とスコーン、ケーキといったアフタヌーンティーの要素が猫カフェ体験に組み込まれている
  • 物語性のある空間設計:『不思議の国のアリス』というテーマを空間に落とし込み、猫と過ごす時間に「ストーリー」を与えている

ロンドンの猫カフェが興味深いのは、日本のモデルをそのまま輸入したのではなく、英国の文化的文脈に翻訳した点です。ペットが飼えない都市生活者の需要に応えるという動機は東京と共通していますが、提供される体験は明確に「英国式」です。10年以上にわたって営業を続けているLady Dinah’sは、その翻訳が成功した証拠でもあります。

4都市の比較表

項目 東京 イスタンブール ロンドン 台北
猫カフェの始まり 2004年(大阪)/ 2005年(東京) 近年(街自体が猫カフェ) 2014年 1998年(世界初)
代表的な店舗 猫カフェMOCHA / ネコリパブリック Catmosfer Cat Cafe Lady Dinah’s Cat Emporium 小猫花園 / 猴硐猫村
猫カフェの位置づけ 日常的な癒しスポット 観光客向け(市民には不要) 特別な体験・予約制 文化の発祥地
保護猫との関係 譲渡型カフェが増加中 街全体がTNRで管理 保護猫を積極採用 猴硐で保護・管理
文化的背景 ペット不可の住環境 イスラム教の猫への敬意 英国のティー文化 猫好き文化 + 地域再生
料金の目安 30分500〜1,000円程度 通常のカフェ料金 90分制、要予約 通常のカフェ料金

共通するのは「猫と人間の距離を縮めたい」という欲求

4つの都市を比較して見えてくるのは、猫カフェの形態はまったく違っても、根底にある欲求は同じだということです。人は猫のそばにいたい。忙しい都市生活の中で、猫が発する穏やかな時間の流れに触れたい。その欲求が、東京では「産業」になり、イスタンブールでは「文化」として維持され、ロンドンでは「物語」に包まれ、台北では「村」として再生しました。

猫カフェという業態は、2020年代に入ってさらに多様化しています。保護猫の譲渡機能を持つカフェ、ヨガやアートと組み合わせたイベント型カフェ、バーチャル猫カフェまで登場しています。しかし、どれだけ形が変わっても、猫がそこにいて、人がそこに集まるという構造は変わりません。

引用・出典

よくある質問(FAQ)

Q. 世界で最初の猫カフェはどこにありますか?

世界初の猫カフェは、1998年に台北でオープンした「小猫花園(Cat Flower Garden)」です。店主が飼い猫5匹を店に連れてきたのが始まりで、2022年にはギネス世界記録から「世界最長営業の猫カフェ」として認定されています。日本で猫カフェが広まったきっかけは、2003年に日本のテレビ番組がこの店を紹介したことだと言われています。

Q. 猫カフェの料金体系は都市によって違いますか?

大きく異なります。東京では30分500〜1,000円程度の時間制が一般的で、ワンドリンク制を設けている店がほとんどです。ロンドンのLady Dinah’sは完全予約制で90分のセッション形式。イスタンブールや台北では、通常のカフェと同じ感覚で飲食代のみ支払う形式が多く、猫と過ごすこと自体に追加料金はかかりません。都市の猫カフェ文化の成熟度や住環境によって、料金設計の考え方が異なります。

Q. 保護猫カフェは世界的なトレンドですか?

はい、保護猫カフェは世界的に拡大しています。東京の「ネコリパブリック」やロンドンの「Lady Dinah’s Cat Emporium」など、保護猫の譲渡を目的に掲げるカフェが各都市で増えています。猫カフェで保護猫と過ごす時間が、里親希望者のマッチングの場になるという仕組みは、「楽しむ」と「救う」を両立させる新しいモデルとして世界的に評価されています。

まとめ

猫カフェの形は都市によって異なりますが、猫のそばで過ごしたいという人間の欲求は万国共通です。台北は1998年に世界初の猫カフェを生み出し、東京はそれを産業として磨き上げ、ロンドンは英国の文化と融合させ、イスタンブールはそもそも街全体が猫カフェとして機能しています。どの都市のスタイルが優れているという話ではありません。猫と人間がどう共存するかという問いに対して、それぞれの街がそれぞれの答えを出しているのです。

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執筆:URAYAMA NO NEKO / Tetsu Onodera

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