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MYZOO、KARIMOKU CAT…猫家具ブランドの世界。なぜ今、猫家具にデザインが求められるのか

かつて「猫家具」と聞いて思い浮かべるのは、ベージュのカーペット素材に覆われた巨大なキャットタワーでした。機能的ではある。しかし、インテリアとしては存在を消したい代物。リビングの隅に追いやられ、来客時には「すみません猫がいるので……」と言い訳の対象になっていた。

その時代は終わりました。2020年代、猫家具は「隠すもの」から「見せるもの」へと進化しています。台湾のMYZOO、日本のKARIMOKU CAT、パーソナライズ家具のKANADEMONO、そしてイタリアのMiaCara。世界各地から、デザインと猫の幸福を両立させるブランドが登場しています。この記事では、知っておくべき猫家具ブランドを一挙に紹介し、「なぜ猫家具にデザインが必要なのか」を考えます。

目次

猫家具にデザインが必要な理由── 3つの変化

猫家具市場がデザイン志向に転換した背景には、明確な社会変化があります。

変化1:猫の室内飼いの一般化

日本ペットフード協会の調査によれば、猫の完全室内飼育率は年々上昇しています。猫が24時間家の中にいるということは、猫用品も24時間視界に入るということです。かつての外飼い中心の時代には「猫の寝床は段ボールで十分」で済みましたが、室内飼いの猫にとって家具は「一生を過ごす場所」。そこに美しさを求めるのは、むしろ自然な流れです。

変化2:SNSによるインテリア意識の向上

InstagramやRoomClipの普及により、「部屋の美しさ」を共有する文化が定着しました。猫のいる暮らしを投稿するとき、背景に写るキャットタワーのデザインがインテリア全体の印象を左右する。この「見られる意識」が、猫家具のデザイン需要を押し上げています。

変化3:「猫に投資する」文化の浸透

矢野経済研究所のペット関連市場調査によれば、ペット関連の支出は増加傾向にあります。特に猫の飼育者は、犬の飼育者と比べて「モノにこだわる」傾向が指摘されています。猫自体が独立した美的存在であることも影響しているのでしょう。猫がいる空間を美しくすることに、お金を使う人が増えているのです。

MYZOO(マイズー)── 壁面を宇宙に変える台湾ブランド

2014年に台湾で設立されたMYZOOは、猫家具の概念を根本から変えたパイオニアです。創業のきっかけは、共同創業者の一人が自宅の猫のためにキャットウォークを設計したこと。建築やプロダクトデザインのバックグラウンドを持つチームが、「猫家具をインテリアプロダクトとして成立させる」という明確な意志でスタートしました。

代表プロダクト

  • 宇宙船GAMMA:透明なアクリルドームを備えた壁掛け式キャットハウス。猫が中に入ると下から肉球が見える。MYZOOの代名詞的プロダクト。壁に設置するため床面積ゼロ
  • Luna:六角形のモジュール式キャットハウス。複数連結して壁面にハニカム状のキャットウォークを設計できる
  • AVENUE:直線的なキャットステップ。シンプルな棚板型で、階段状に配置して上下運動のルートをつくる
  • ZONE:壁に立てかけるタイプのキャットツリー。釘を使わず設置でき、賃貸でも導入可能

MYZOOが支持される理由

MYZOOの本質的な強みは「モジュール式」であることです。ひとつのパーツを買い足しながら、壁面のキャットウォークを徐々に拡張できる。引っ越しても、新しい壁に合わせてレイアウトを変えられる。この「育てられる家具」という設計思想が、特に賃貸暮らしの若い猫飼いに刺さっています。

価格帯はキャットステップ単体で5,000〜8,000円、宇宙船GAMMAで15,000〜20,000円程度。「猫家具に初めてお金を使う」入り口としても手を出しやすいラインです。

KARIMOKU CAT(カリモクキャット)── 日本の木工技術が猫に本気を出した

日本最大の木製家具メーカー・カリモク家具が、猫の健康支援プロダクトを手がけるRINN社と協業して2022年に立ち上げたのがKARIMOKU CATです。コンセプトは「Cat First.」──猫を第一に考えたものづくり。

代表プロダクト

  • KARIMOKU CAT TREE:プロダクトデザイナー・小宮山洋氏デザイン。三角形のベースでコンパクトに設置でき、高さ124cm。無垢材の質感が美しい。39,800円(税別)
  • CAT BED:カリモクの木工技術で作られた猫用ベッド。曲げ木の美しいカーブが猫の体にフィット
  • CAT RESTROOM:猫トイレを収納する家具。外観は完全にサイドテーブル。においと視覚的な雑然さを同時に解消
  • CAT TABLE:15度の傾斜がついた猫の食事台。猫の首への負担を軽減する設計

なぜカリモクが猫家具を作るのか

カリモク家具は1940年創業、80年以上の木工技術を蓄積した老舗です。そのカリモクが猫家具に参入した理由は、RINN社代表の向氏が「猫の健康課題を家具で解決したい」とカリモクに持ちかけたことが発端とされています。2025年には「木と猫」と題した展覧会を開催し、人と猫が共に使える「CAT NEST」スツールや、木の猫置物「匣猫(こうばこねこ)」など、プロダクトの境界を拡張し続けています。

KARIMOKU CATの本質は「猫家具」ではなく「家具メーカーが本気で作った猫のためのプロダクト」であることです。その差は品質と耐久性に直結します。

KANADEMONO(カナデモノ)── 猫穴のあるテーブルという発明

パーソナライズ家具ブランドKANADEMONOが展開する「Nekodamono(ネコダモノ)」シリーズは、「人間の家具に猫の機能を埋め込む」というアプローチで異彩を放っています。

代表プロダクト

  • ネコ穴付きローテーブル:天板に直径18cmの穴が開いており、猫が自由に出入りできる。猫が穴から顔を出す光景は、それ自体がインテリアの主役になる
  • ネコ穴付きシェルフ:本棚やディスプレイシェルフの一角に猫穴を設けた設計。猫がシェルフの中を通り抜けられる
  • 猫の手も借りたいソファ:猫が爪を立てても味わいが増すジャガード生地を採用。猫の行動を「ダメージ」ではなく「カスタマイズ」と捉える逆転の発想

KANADEMONOの革新性

MYZOOやKARIMOKU CATが「猫専用の家具」を作っているのに対し、KANADEMONOは「人間の家具を猫対応にする」というアプローチです。この違いは重要で、「猫用品を増やしたくない」「人間の家具に猫の機能が内蔵されていてほしい」という層に刺さります。5,000通り以上の組み合わせと1cm単位のサイズオーダー対応は、狭い部屋にぴったりの家具を探している人にとって大きな魅力です。

海外の注目ブランド── グローバルな猫家具シーン

日本と台湾だけでなく、世界各地で猫家具の革新が起きています。

MiaCara(ミアカーラ)── ドイツ

ドイツ発のラグジュアリーペット家具ブランド。犬と猫の両方に展開していますが、猫用のベッド「Letto」やスクラッチポスト「Vigo」のミニマルなデザインは、ヨーロッパのインテリア誌でも頻繁に取り上げられています。本革やフェルトを使った上質な素材感が特徴で、価格帯も3万〜10万円とラグジュアリー。「猫家具にここまでお金をかけるのか」という驚きと、「でもこれは確かに美しい」という納得が同居するブランドです。

Tuft + Paw(タフトアンドポー)── アメリカ

サンフランシスコ拠点の猫家具ブランド。D2Cモデルで展開し、「モダンキャットファニチャー」というジャンルをアメリカ市場で確立しました。代表的なプロダクトは「Milo」キャットタワー。フェルトとウッドの組み合わせで、北欧インテリアに馴染むデザイン。キャットトイレの「Cove」は、サイドテーブル型の猫トイレ収納としてAmazon USでもベストセラーです。

PIDAN(ピダン)── 中国

上海発のペットプロダクトブランド。猫用トイレ「igloo」は、雪の家を思わせる曲面デザインで、中国・日本・欧米で大ヒットしました。フード入りドーム型トイレという機能性に加え、カラーバリエーション(白、グレー、ピンク)と丸みのあるフォルムがインテリアに馴染む。価格も5,000〜10,000円台と手頃で、猫家具ブランドのエントリーモデルとして広く認知されています。

ブランド比較── 目的別おすすめ

目的 おすすめブランド 理由
壁面キャットウォークを作りたい MYZOO モジュール式で拡張自由。賃貸対応パーツも
リビングに映える一点ものが欲しい KARIMOKU CAT 日本の木工技術による圧倒的な質感
人間の家具と猫家具を一体化したい KANADEMONO サイズオーダー対応。猫穴付きテーブルが秀逸
ヨーロッパのインテリアに合わせたい MiaCara 本革・フェルトのラグジュアリー路線
コスパ重視で始めたい PIDAN 5,000円台からデザイン性の高い猫家具が手に入る

猫家具の「これから」── 家具と猫の境界が消える日

猫家具の進化は、単に「おしゃれなキャットタワーが増えた」という話ではありません。本質的な変化は、「猫家具」と「人間の家具」の境界が溶け始めていることです。

KANADEMONOの猫穴付きテーブルは、人間のテーブルか猫家具か、もはや分類できません。KARIMOKU CATのCAT NESTスツールは、人が座ることも猫がくつろぐこともできる。この「どちらのためでもあり、どちらのためでもない」という設計思想こそ、猫家具の未来を示しています。

猫と暮らす人が増え続ける限り、この流れは加速するでしょう。10年後には「猫対応が標準仕様」の家具メーカーが珍しくなくなっているかもしれません。そのとき、「猫家具ブランド」というカテゴリ自体が消滅する。それが、猫家具の理想的な未来です。

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FAQ

Q. 猫家具ブランドの商品はどこで買えますか?

ブランドによって異なります。MYZOOは公式サイト(myzoo.jp)のほか、楽天市場やAmazonでも取り扱いがあります。KARIMOKU CATは公式オンラインストアと一部のインテリアショップ。KANADEMONOは自社ECサイト(kanademono.design)のみ。海外ブランドのMiaCaraやTuft + Pawは各公式サイトからの個人輸入が基本ですが、国内の輸入セレクトショップで取り扱いがある場合もあります。まずは各ブランドの公式サイトを確認してみてください。

Q. デザイン性の高い猫家具は耐久性に不安がありますが、大丈夫ですか?

ブランドによりますが、この記事で紹介したブランドはいずれも耐久性にも力を入れています。KARIMOKU CATは80年の木工技術が裏付ける品質ですし、MYZOOは防水コーティング処理済み。KANADEMONOの「猫の手も借りたいソファ」は猫の爪に耐えるジャガード生地を採用しています。重要なのは「デザイン性が高い=脆い」ではないということ。むしろ、きちんとしたブランドほどデザインと耐久性の両立を設計思想の根幹に据えています。

Q. 猫が新しい家具を使ってくれない場合はどうすればいいですか?

猫は新しいモノに警戒する生き物です。新しい猫家具を設置したら、最低1〜2週間は猫のペースに任せてください。無理に乗せたり誘導したりすると逆効果です。コツは、猫の匂いがついた毛布やおもちゃを新しい家具の上に置くこと。自分の匂いがすると安心して近づきやすくなります。また、キャットステップの場合は、おやつを少量ずつ段の上に置いて「ここに行くと良いことがある」と学習させる方法も有効です。

まとめ

猫家具は「仕方なく買うもの」から「選んで楽しむもの」へと、確実に進化しています。MYZOOのモジュール式キャットウォーク、KARIMOKU CATの木工技術が生む一点もの、KANADEMONOの猫穴付きテーブル、MiaCaraのラグジュアリーライン。どのブランドにも共通しているのは、「猫の幸福とインテリアの美しさは両立できる」という信念です。かつてリビングの隅に追いやられていた猫家具は、今や空間の主役になっています。猫と暮らす部屋をつくるとき、まずはブランドの哲学を知ることから始めてみてください。

URAYAMA NO NEKOは、猫カルチャーを発信するブランドです。オリジナルグッズはこちら → SHOP

著者:URAYAMA NO NEKO / Tetsu Onodera

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